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感想文/遊んだものMOTHER3 プレイ記(3) | 06.04.29 (土)

MOTHER3 プレイ記『鉄の温もり樹々の冴え』(3)

『MOTHER3』
(C)2006 SHIGESATO ITOI/Nintendo

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大絶壁

行方の知れない家族を探して、フリントは煙のくすぶる森を駆け回った。 手がかりらしきものが崖の上に見えた。 妻、ヒナワの着ていた服と同じ色の布が、絶壁の上の木にひっかかっていた。 だが、この絶壁を登るのは容易ではなさそうだった。

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この崖を登れる男、ダスターを連れてくるべく、愛犬ボニーは雷雨の中をひた走った。

「けなげな動物ってシチュエーションには弱いんだよ、昔から」
とプレイヤーは思ったが、 結構な時間、操作できないイベントデモに軽くイラついた。

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フリント達は崖を登り、最初のボス戦を終え、そこにいた豚仮面どもを追い払った。 崖の上にはMOTHER2世界のパワースポットを思わせる奇妙な空間があり、 地面には〝見覚えのある島〟の模様が見えたが、 何の意味があるのか伏線なのかどうか、見当もつかなかった。

残念ながら崖の上にも家族は見つからず、フリントはうなだれて崖を降りた。

崖を降りると、村人達が大騒ぎしていた。 クラウスとリュカが見つかったらしい。川を流されていた、と。 フリントは息せき切って、焚き火で暖をとっている我が子のもとへ駆けつけた。 そして、妻の消息についての報せを受けた。

第一章のサブタイトルが「とむらいの夜」だったときから、 プレイヤーがうすうす覚悟していた事実。 フリントにとっては認めることのできない現実。 その報せを聞いた瞬間、フリントは我を失った。
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Lonly

プレイヤーはうめいた。ゲームの開始時が淡白だっただけに、 平和で平凡で幸せで和やかで穏やかで心地良かっただけに、 この展開はこたえた。 淡白で平和で平凡で幸せで和やかで穏やかな演出が、ここで効いていた。 効いているのが嫌だった。

同時に、先だってのボニーのイベントに続いて間隔をあまりあけずに 〝操作できない見るだけ長イベント〟が入ったのが不快でもあった。
「FFかっつーの。ダメージメッセージの排除とかフキダシアイコンとかな、 いいものを取り入れるのが悪いとは言わん。 元々、システム的にはMOTHERはDQのパクリだしな。 今さらFFをパクっても驚きゃしないが。 でも、ちっとばかしポリシーにゆらぎが出てねぇか? 〝Only in not Lonly〟をつらぬけっつーの重ちー! んだよあのCM。キムタク使えよ重ちー!」
興奮のあまり、プレイヤーの思考も混乱し、無関係なことを毒づいてしまっていた。。

夜が明け、フリントは留置場で目が覚めた。 平和なタツマイリ村の留置場の、記念すべき拘置者第一号がフリントだということだった。

フリントは留置場から出ると、カエルに話しかけ、セーブした。 そしてプレイヤーはゲームキューブの電源を落とした。

プレイヤーが再び電源を入れるまで、5日を要した。 覚悟していた展開だったがそれでもなお、 プレイヤーにとってはプレイしたくなくなるほどの鬱展開だったのだ。

プレイヤーはかんがえている‥‥プレイヤーはちょっとへんなきもちになった

クラウスは、母親の命を奪ったドラゴを憎んでいた。

フリントは気が付いていた。おとなしいはずのドラゴが狂ったのは、 豚の仮面をつけた怪しいヤツラのせいにちがいない、と。 当然、フリントは豚仮面どもを憎んだ。

プレイヤーは知っていた。豚仮面たちの親玉が誰かを。 まず、間違いなくあの憎たらしい隣人に間違いない‥‥そう思った。 プレイヤーは彼を、豚王を憎ん‥‥‥‥

「憎んでいいのか?」
と、プレイヤーは自問した。

「 『MOTHER』シリーズは、USAの良いところ‥‥USAの暗部には目をつぶり、 理想化されたUSAを舞台としたRPGだ。 個人的には『MOTHER』は'60年代、 『MOTHER2』は'80年代のUSAをイメージしたのだと思っている。 (ゲーム内設定では、それぞれ198X、199Xということになってるけど) そして、今は2006年。9/11の同時多発テロを経験してしまった世界。 もう誰もアメリカの暗部に気付かないフリができなくなってしまった。それが現在だ。

「N64版『MOTHER3』の開発が頓挫したのは2000年だ。 この時点で森を守るため立ち上がったフリント、 二人の息子のリュカとクラウス、愛犬ボニーという設定は決定していたから、 911を受けてシナリオが大幅に書き換えられた、ということは無いだろう (同時多発テロは2002年)

「だけど、2006年の私たちは憎しみの連鎖が不毛なことを学んでしまった。 理想化されたUSAという世界観が根幹になっている『MOTHER』の最新作が、 復讐・報復という現代USAの暗部を肯定するような物語としてこのまま進行するとは思えない。

「と、いうことは許すのか?豚の王を。 ヒナワの命を奪った糞野郎を許せというのか?

「いや、〝力には責任がともなう〟というのもUSA人の基本理念の一つだ。 世界中の多くの人間がUSAを馬鹿にするようになった今もなお、 この理念は否定されてはいない。

「それは形骸化した単なる建前であり、いまや
 【 力には責任がともなう 】
のスローガンの元にUSAによる正義の押し売りが世界中のいたるところで行われている。

「それでも多くの人は〝力には責任がともなう〟という考えは本質的には間違ってはいない、 と考えているんじゃないだろうか?

「つまり、豚には使った力の責任をとらさねばならない、ということだ。

「罪を憎んで豚を憎まず‥‥そういう物語になるのだろうか? 仮に、物語がそういう方向で進んだとして、 プレイヤーである自分はそれを認めることができるんだろうか?」

プレイヤーは、そんなとりとめもないことをグダグダと考えながら5日間を過ごした。

「あと、大草原の小さな家的古きよき19世紀USAを舞台をしちゃうあたり、 ズルいよなぁ。'90年代はダメですかそうですか」
とも、プレイヤーは思った。

町の人は、フリントを。

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昨夜、錯乱したフリントに殴られた人達はみな、フリントを許した。 誰もフリントを恨んではいなかった。


- 続く -

P.S.

今のところ、難易度低すぎて、純粋にゲームとしては、ちょっとなぁ。 戦闘中のメッセージにニヤニヤできる人ならともかく、 特に思い入れの無い人に、この低難易度は辛いんじゃなかろうか。

崖の上の洞窟の地面の模様が気になる。

「やんちゃなモグラ」が好き。かわいい。それと、「よくばりなネズミ」の敗北時メッセージで笑った。

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