ONYXを目指して(4)

探索日誌『ONYXを目指して』(4)

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オレの名前はFC。最近、仲間にリーダーの資質を疑われはじめた。 みんなは装備もロクに揃わないまま、 レベル6で地下五階を探索するのは間違いだったと思っているらしい。 ひっきりなしに誰かが死んでは街に戻る……を繰り返しているからだ。

よい防具を最優先でMDに装備させるようになったので、 MDが死ぬことは減ったが、かわりにPCEがよく死ぬようになった。

「Hu!オレも大事にしてくれよ~!MDの次に足手まといなのはオレなのに~!」
とPCEがわめいている。 うるさい。少し殺意がわいた。

ある日、操作を間違って、もうクスリを持ってないはずのSSに、 クスリを出すよう指示してしまった。

SSはでかい図体からねじるようにして、クスリを取り出した。

……クスリは複数、持つことができたのか。

勘違いによる余計な縛りが解け、冒険が一気にラクになった。

「ピーッ!装備も整ったし、全員レベル7になった!行こうぜ!カラーダンジョンへっ!」 とDCが嬉しそうに言った。誰にも異議はない。

噂によれば、カラーダンジョンを通過するための順番は、 タイトル画面をよく見ていればわかるらしい。オレ達は目を凝らして眺め続けた。

「Huuu……、青→紫→黄→赤→緑……か?」
とPCE。
「ガラーダンジョン……地下六階に下りだ直後が黄色だろ?じゃあ最初ば黄色だよな?」 とMDがガラガラ声で言う。
「白はどこだ?」
とSSがでかい図体を揺さぶりながら首をひねる。

話し合った結果、〝黄→赤→緑→青→紫→白〟という順番で挑んでみることにした。

探索した結果、〝黄→赤→緑→青→紫→白〟という順番ではダメだと判明した。

意気消沈する仲間に向かってオレは言った。 こういう時こそリーダーの知恵の見せ所だ。

「占い師Googleに訊ねてみよう!」

街外れに住む占い師Googleは、しばらくあちこちの窓を開いたり閉じたりしたのち、 おもむろにつぶやいた。
「SR版の順番は、〝黄→青→紫→黄→白→赤→緑〟じゃ!」

「最初の黄色ば数にいれないのがよ……。だっだら、 〝イロ イッガイ ズツ(ギイロ ハ 2ガイ)〟 っで言っで欲じいよな」
とMDがガラガラ声で負け惜しみを言った。

順番が判明したので、コツコツと固定のモンスター出現ポイントを潰し、 カラーダンジョンを攻略していった。 そうしているうちに全員がレベル8になり、全員分のマホウ ノ マントを手に入れた。

DEXが異様に低いため、一人だけ盾を装備させられているMDがブツブツ言っていたが、 聞こえないフリをした。

ついにブラックタワーに突入し、 一歩一歩、キャンパスノートに鉛筆で地図を書きながら進んでいった。 特に懐古趣味的な喜びは無かった。 ブラックタワーから足を踏み外さないようにするのでせいいっぱいだったからだ。

二度ほど、うっかりブラックタワーの外へ踏み出してしまい、 地下6階からやり直した。

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ついに来た!ブラックタワーの最上階だ!。扉以外の壁も床も透き通り、 東西南北がループする夢幻回廊。このフロアのどこかに秘玉・ブラックオニキスが…… と、感慨にふける暇もなく、最上階に上がったとたんに現れたジャイアントに、 DCが一撃で殺されてしまった。

どうやら、レベル8ではお話にならないらしい。 悩んだ末、ここまで来たのだから最上階のマッピングを可能なかぎりやることにした。 全滅は覚悟の上でだ。みんな、しぶしぶながら承知してくれた。

とりあえず現在の向きを再確認するために、一階に下りた。

Waftという若者が話し掛けてきた。
「よぉ!アンタらそこで何やってんの?」
武器防具を何も身につけてないところを見ると、 まだこの街に来たばかりなのだろう。

というか、 地上からは決して入ることができないはずのブラックタワーに、 こいつはどうやって入ったのだ!?

ともあれ、DCが死んで枠が余っていたので、Waftを仲間に加えた。 現在向きを再確認し、階段を上った。

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「ひええっひえええええええーっ」
Waftが混乱している。 無理も無い。 未開人を都会に連れ出したようなものだ。 気にせず、オレ達はマッピングを開始した。

一歩進んだ。何も無い。向きを変え、もう一歩進んだ。タウルスが4匹、現れた。

SSが死んだ。図体が大きいから標的になりやすかったのか。 次にWaftが死んだ。さようなら、一瞬だけの仲間よ。 君のことはあと3秒くらいは忘れない。

なんとかタウルスを1体倒したが、力の差は歴然だ。オレ達は全滅を覚悟し……

 * * * * *

オレの名前はMD。今、FCが死んだ。これで、これからはオレがリーダー……

 * * * * *

オレの名前はPCE。今、MDが死んだ。残るはオレ一人だ。 FCがタウルス一体と刺し違えたので、残るタウルスは二体。 どうあがいても勝てっこなさそうだ。オレは勇気を振り絞って叫んだ!
「Hu!かかってこい!オレのTHE・功夫を見せてやるぜ!」

理由は不明だが、タウルスは逃げていった。 最強の武器、マホウ ノ バトルアックスを残して。 オレはマホウ ノ バトルアックスを拾うと、慎重に後ずさりして一階まで降り、 あとは転げるようにブラックタワーからウツロの街へと逃げ出した。

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「Huuuu……ともかく、目標・全員レベル9を目指そう。じゃないとどうしようもない……」
誰かに言いたかったが、周りに仲間は一人もいなかった。オレは一人寂しくセーブをした。

次でたぶん完結。

『蘇るPC-8801伝説』

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  • アスキー書籍編集部 編
  • 出版:アスキー
  • 税込価格 : ¥2,940 (本体 : ¥2,800)

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桝田道也(ますだみちや)
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