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[SF] 国会図書館デジタルコレクションで明治のSFが読める!

この記事どう? ええよ~

このエントリは2006年に書かれました。国会図書館の近代デジタルライブラリーは2016年に国立国会図書館デジタルコレクションに統合されたので、エントリのタイトルおよびリンクを修正しました(2020-09-14)

 >近代デジタルライブラリーのサービスを終了しました|国立国会図書館―National Diet Library
 https://www.ndl.go.jp/jp/library/news/1216080_1484.html


近代デジタルライブラリーで明治のSFが読める件

お知らせ | 近代デジタルライブラリー 〈平成18年4月4日〉
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/241869/kokaityosa.ndl.go.jp/information.html 

>新たに約5万タイトル(約6万7000冊)の明治期刊行図書を追加公開しました。今回の追加公開により近代デジタルライブラリーの公開総数は、約89,000タイトル(約127,000冊)となります。

……て、ほぼ倍増ですよ!で、ざっと検索してみたら、これがもう読める読める!

『日本SFこてん古典』(横田順彌)で大いに笑わせてもらった、奇書妙著の数々がかなり読めるんですよ。古本屋で買い集めたり国会図書館までいかずとも、タダで。いい時代になったものです。

古今東西の英雄豪傑が合戦する『午睡之夢』、

秀吉がアジア・ヨーロッパはおろか地獄まで征服してしまう『豊臣再興記』、

『海底軍艦』シリーズの原書の一部

古書好事家の話題によく挙がる『後西遊記』がっ!

青空文庫と違い、原書のスキャン画像ってところが不便であり、魅力的なところです。

たとえば、『新海底旅行』(羽化仙史)の〝若妻べに子が五、六〇〇の小蛸に襲われるシーン〟の挿絵が見られるのは、 テキスト主体である青空文庫には無い魅力かと。
kodako.jpg
(5匹じゃん。ちゃんと600匹描けよ>絵師)

今回、追加されたのは明治期刊行図書なので、『炭素太閤記』(大正)や『緑人の魔都』(昭和)が読めないのは残念ですが。

興奮のあまり、〝『日本SFこてん古典』で取り上げられた本のうち、近代デジタルライブラリーで読める本〟の直リンク集を作ってしまいました。

全部だと膨大すぎるので、〝単行本であること〟〝SFあるいはハチャハチャであること〟〝引用あるいは現代語訳付きで紹介されたもの〟に絞りました(例外、少しあり)

それでも、結構な量のリストになってます。

 

2006/04の時点で読めるもの

『政海之破裂』 北海散士 (明治21年)
『月世界探検』 羽化仙史(渋江保) (明治39年)
『浮城(うきしろ)物語』 矢野竜渓 (明治23年)

>『浮城物語』がプロローグのみで終わってしまったことは、日本古典SF界にとって損失よりも、利益を与えたといって過言ではない。なぜなら、この物語が挫折してしまったために、続篇を待ちわびていたひとりの少年が、後に自ら『浮城物語』をはるかに上回る軍事冒険小説を発表したからだ。これが、今や〝日本SF界の祖〟と呼ばれる押川春浪であり、『海底軍艦』六部作だ。

 >押川春浪 – Wikipedia
 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%BC%E5%B7%9D%E6%98%A5%E6%B5%AA

『衛生鏡 人身体内政事記』 灘岡駒太郎 (明治22年)

>ともかく、そんじょそこらにある医学解説書とはわけがちがう。いってみれば、〝ミクロの決死圏的医学科学小説風一部大ポルノ解説書〟なのだ。

『風流志道軒伝』 風来山人(平賀源内) (宝暦13年)
『飛騨匠物語』 石川雅望(宿屋飯盛) (文化5年) 
『後西遊記』 天花才子  (1783) 
『八十日間世界一周』 ジュール・ヴェルヌ/著 川島忠之助/訳 (明治13年)
『九十七時二十分間 月世界旅行』 ジュール・ヴェルヌ/著 井上勤/訳 (明治13年)
『第二十世紀』 アルベール・ロビダ-/著 服部撫松/訳 (明治17年) 
『午睡之夢』 南柯亭夢筆(杉山藤次郎) (明治20年) 
  • >ナポレオン、豊臣秀吉、諸葛孔明、アレキサンダー、ジンギスカン等、古今東西の英雄豪傑が入り乱れて戦いを交わす一大奇想天外荒唐無稽古典SF軍記
  • https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/881948
『雪中梅』 末広重恭 (明治19年) 
『海底軍艦』六部作 押川春浪 (明治33年~) 

2006年4月の時点で、『海底軍艦』六部作のうち近代デジタルライブラリーで見られるのは『武侠の日本』、『東洋武侠団』の2冊だけらしい。

『豊臣再興記』 南柯亭夢筆(杉山藤次郎) (明治20年) 
  • 日本を征服した秀吉が勢いに乗って全アジアを征服し、途中、孫悟空の助力を得て全ヨーロッパを征服し、最後には地獄まで征服してしまうという暴走架空軍記SF
  • https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/881719
『暗黒星』 シモン・ニューコム/著 黒岩涙香/訳 (明治37年)
『千年後の世界』 押川春浪(明治38年) 
『冒険怪話 空中旅行』 増本河南 (明治42年) 
『新説 破天荒』 ジョージ・グリフィス/著 黒岩涙香/訳 (明治43年) 
『空中大飛行艇』 押川春浪(明治35年) 
『星界想遊記』 井上円了 (明治23年) 

>確かに、主人公が夢の中で地球外の星々を訪ねる話ではあるが、平賀源内に源を発する架空国漫遊譚を、やや哲学的に処理したもので、SF的に、またSF史的には価値はほとんどない。

『新海底旅行』 羽化仙史(渋江保) (明治38年) 
『大宝窟』 H・R・ハガ-ド/著 宮井安吉/訳 (明治27年) 
『美人探検』 H・R・ハガ-ド/著 黒法師/訳 (明治45年) 
『魔法医者』 ガイ・ブースビー/著 水田南陽外史/訳 (明治31年) 
『滑稽国滑怪戯事抱膓録』 痩々亭骨皮道人 (明治24年) 

2006/04の時点で読めないもの

  • 『炭素太閤記』 西沢勇志智 (大正15年)
  • 『英国征服記』 上田駿馬一郎 (昭和19年)
  • 『全世界未来記』『新世界未来記』 ジヲス・コリデス/著 近藤真琴/訳 (明治元年)
  • 『閻魔裁判鯰髯抜』 巌谷小波 (大正13年)
  • 『地球を弔ふ』 中山忠直 (昭和13年)
  • 『太郎の旅 月世界のたんけん』 野村胡道 (大正15年)
  • 『夢現鏡』 矢崎嵯峨の屋 (昭和24年)
  • 『露独の来襲』 原田政右衛門 (大正4年)
  • 『神示小説 宇宙の統一』 九鬼盛隆 (大正十三年)
  • 『日米開戦未来記』(文芸倶楽部増刊号に掲載) ハミルトン大尉 (明治30年)
  • 『日米未来戦』 エリオット少佐 (昭和5年)
  • 『小説 日米戦未来記』 福永恭助 (昭和9年)
  • 『我輩は猫被りである』 山田狐帆 (明治44年)
  • 『我輩は孔子である』 贄田江東 (大正3年)
  • 『我輩は電気である』(電子隣組の歌) 竹内時男・岡部操 (昭和17年)
  • 『宇宙の彼方へ』 西森久記 (昭和11年)
  • 『僕らの栄養と食物(肉助・団五郎 食道膝栗毛)』 誠文堂新光社 (昭和15年)
  • 『バイキンの国探検』 桜沢如一 (昭和18年)
  • 『東遊記』 作者不詳 斉東野人/訳 (明治17年)
  • 『東遊記』 白井喬二 (昭和15年)
  • 『不死人』 伊藤銀月 (昭和15年)
  • 『空中征服』 賀川豊彦 (大正11年)
  • 『百年後の日本』 松谷与二郎 (大正11年)
  • 『十五少年』 森田思軒 (明治29年)
  • 『世界大演説会』 想像子智外 (明治25年)
  • 『番茶会談』 幸田露伴 (明治44年)
  • 『此世は如何にして終るか』 カイミユ・フラマリオン/著 高瀬毅/訳 (大正12年)
  • 『緑人の魔都』 南沢十七 (昭和23年)
  • 『一千一秒物語』 稲垣足穂 (大正15年)
  • 『銀河鉄道の夜』 宮沢賢治 (昭和2年)
  • 『人工心臓』 小酒井不木 (大正15年)
  • 『怪獣ゴジラ』(ラジオ用脚本) (昭和29年)
  • 『火星号不時着』 L・デル・リー/著 那須辰造/監修 (昭和30年)
  • 『都市覆滅機』 ルルウ (大正14年)
  • 『奇言奇行 曾呂利新左衛門』 八木白村 (大正元年)
  • 『御曹子島渡り』 (室町時代)
  • 『小説 本土決戦』 佐渡正昭 (昭和45年)
  • 『さかさまの世界』 ランドルフ・ロバン/著 (昭和27年)
  • 『さかさまの世界』 ランドルフ・ロバン/著 (昭和27年)
  • 『百年病奇譚』 大下宇陀児 (昭和17年)
  • 『怪塔王』 海野十三 (昭和13年)
  • 『地球盗難』 海野十三 
  • 『暴れキング・コング』 榎本進一郎 (昭和9年)
  • 『スピード忠臣蔵』
  • 『猿飛び佐助月世界へ』 大鳥三吉 (昭和22年)
  • 『野獣の城』 霜野二一彦 (昭和23年)
  • 『女偉丈夫 冒険飛行美人』 竹生山人 (大正8年)
  • 『日本及日本人増刊 百年後の日本』 政教社 (大正9年)
  • 『地底大陸』 蘭都二郎 (昭和44年(復刻))
  • 『昭和遊撃隊』 平田晋策 (昭和10年)
  • 『新戦艦高千穂』 平田晋策 
  • 『ヂャマイカ氏の実験』(雑誌『新青年』) 城昌幸 (昭和3年)
  • 『遺骨発見』(『探偵小説 最後の犠牲者』収録) 正木不如丘 (昭和21年)
  • 『千万無量 星世界旅行 一名世界蔵』 貫名駿一 (明治15年)
  • 『科学童話 後の花咲か爺』 藤井七郎 (昭和12年)
  • 『ドグラ・マグラ』 夢野久作 (昭和10年)
  • 『六大学野球全集』 庄野義信 (昭和6年)
  • 『亜細亜の曙』 山中峯太郎 (昭和6年)
  • 『今の世の奇跡』 H・G・ウェルズ/著 黒岩涙香/訳 (昭和6年)
  • 『英国衰亡史』 エリオット・イー・ミルズ/著 木村壮太/訳 (昭和17年)
  • 『科学小説 火星航空賊』(『月面の盗賊』の翻案) レイ・レミングス/著 金王梅雄 (昭和7年)
  • 『教育小説 数太郎』 高橋千代 (大正15年)
  • 『小人島十年』 そうだ・しうじ (昭和25年)
  • 『戦慄の宇宙』 砦小二郎 (昭和22年)
  • 『電気の国を行く』 佐崎健夫+佐崎登美 (昭和24年)

引用はすべて『日本SFこてん古典』 横田順弥 集英社文庫(1)~(3) より。

他にも近代デジタルライブラリーのトップから〝羽化仙史〟〝南柯亭夢筆〟〝押川春浪〟〝骨皮道人〟などを検索すると、様々な明治SF、明治ハチャハチャが読めそうです。

読めそう……というのは、まだちゃんと読んでいないから。旧かな苦手なんですよ~。ええい戦後教育め(と、人のせいにする)。

リストの作品を全部読むのは無理だし、はなからそんなつもりも無いんですが、べに子萌えなんで『新海底旅行』はがんばって読むつもりです。

『日本SFこてん古典』 – 横田順弥

名著。と、いいつつ私は『新・日本SFこてん古典』を持ってない&読んでないんですが。うわ、プレミアついてる……。高ぇ……。


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