ONYXを目指して(1)

探索日誌『ONYXを目指して』(1)

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「ウツロの街か……前にこの街に来たのは20年以上も前になるのか」
と俺はつぶやいた。
「やげに賑やがな音楽が聞ごえるな。8801はBeep音以外出ぜなかっだんじゃながっだのが?」
とMDがしゃがれ声で言いながら首をかしげる。
「SR版だよ」
すかさずPCEがHu!と口笛を吹きつつ答えた。

久しぶりに来たせいか、SSとDCはドアに何度もぶつかっていた。 いくら文明圏から離れていたとはいえ、ドアは開けるものだということを忘れるようではマズイのではないか?

俺の名前はFC。 再びONYXを目指してウツロの街に戻ってきた。 仲間はすぐに集まった。MD、PCE、SS、DC。 いずれも
「101キーボードには〝カナ〟なんてキーは無いんだよProjectEGGの馬鹿野郎ッ!」
という縁で知り合った連中だ。

マーケットで装備を整えると、さっそくレベルを上げるために墓地へ出かけた。

道すがら、他の冒険者に襲われたり、金を奪われたりした。 油断のならない街だ。 だから俺はこの街が大好きだ。

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中には気さくに話しかけてくるやつらもいる。カタコトで。 なぜかONYXの発音だけは美しい。 そうなのだ。この街に集う人間の目的はただひとつ。 永遠の若さと莫大な富を与えてくれるという伝説の宝玉・ブラックオニキスを手に入れるために、 命をかえりみず皆、この街にやって来ているのだ。
「ONYX ヲ メザシテ ガンバリマショウ!!」
か。きっとこいつらも本当は俺たちを追い剥ぐつもりだったのだろう。 それを勘付かれたから胡散臭い挨拶で誤魔化しているだけなのだ。 だから俺はこの街が好きだ。

戦闘を一回するたびに街へ戻り治療をする。 何度か殺された。何度もリセットをさせられた。DCが言う。
「ピーッ!ひょっとして狂王の訓練場より難しくねえ?」
同感だ。

傷ついたMDが辛そうにしている。
「お金、使い果だじだんだよ~。ケガが治ぜねーんだよ~」
と、しゃがれ声で訴えてきた。できることならなんとかしてやりたいが、 俺たちの間に金の貸し借りという概念は無いのだ。

リセットを繰り返しながら1時間ほど戦闘を繰り返した。 特にMDとPCEが何度も死んだ。 ようやく全員がレベル2になると、コボルドどもが金を置いて逃げ出すようになった。 唐突に冒険が楽になった。 MDはケガを治し、俺はメイスを買った。

少ないながらも余ったお金を銀行に預けた。 MDだけ、治療でお金を使い果たしていたので口座を作れなかった。

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銀行を出ると、雷鳴が轟いた。ブラックタワーだ。 あの塔の最上階にONYXが隠されているはずなのだ。
「正直、途中で挫折するかもな。クラッケンを倒せるようになったあたりで満足かもな……」
と、仲間に聞かれないように心の中でそっとつぶやくと、俺は宿屋へ向かった。

– (日誌1・完)-

『蘇るPC-8801伝説』

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  • アスキー書籍編集部 編
  • 出版:アスキー
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桝田道也(ますだみちや)
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