近世大名は城下を迷路化なんてしなかった_バナー



[チャリ旅] ママチャリで東京から霞ヶ浦まで行ってみた 一日目

この記事どう? ええよ~

ママチャリ旅行 2016 埼玉・千葉・茨城の旅(一日目)

プロローグ

いろいろあって、旅でもしなきゃやってられんような日々だ。だが、今年の夏は、いや、今年の夏、青春 18 きっぷを工面する予算も捻出できなかった。ド底辺である。働いてはいるが、生活保護を申し込もうかどうか悩んでいる。まあ、それはそれとして。

交通費が捻出できないなら、交通費のかからない手段を使えばいいのだ。そう、すなわち自転車。エネルギー効率のもっともいいと言われる乗り物。本当かどうかは知らない。ソースを探したこともない。

過去に二度、自転車で一泊二日のママチャリ旅行をやったことがある。

最初のときは、無我夢中だったし、けっきょく夕日の時刻までに目的地に到着しそうになかったので、途中で電車を使った。 あと、まだ今よりは若かったので、野宿でもなんとかなる体力があった。

群馬に行ったときは、疲労で冷静な判断力を失い、マジであぶなかった。いまでも、死なずにすんだのは運がよかったと思っている。

そうして、一度やると、しばらくはママチャリを見るのもいやになるのだけど、苦行は過ぎてしまえばよい思い出に変わるもので、数年すると、またやりたくなってしまうのだ。

だいじょうぶ、実は6月くらいから晴れた週末は 40km~60km のママチャリ小旅行をやってきた。前二回の反省もある。 体力は落ちているけど、経験でカバーできるはず!

というわけで、(1)無理しない。(2)一日 100km 以上走らない。(3)かならず銭湯か温泉で体を癒す。(4)万が一に備えて寝袋は持っていくが、極力、野宿はしない。(5)一泊二日の強行軍を止めて、二泊三日の余裕をもっていく

…の、5つのルールを決めて、どこかに行くことにした。

目的地選定

前回死にかけた群馬県太田市を参考に、一日で 80km 圏内は行ける。それが私のママチャリ旅行の限界。という規準で目的地を探す。

私は城クラスタの人間なので、お城を見て回りたいのだけど、この距離だと、あんまり目ぼしい城がない。 水戸城、唐沢山城が外れてしまう。

鉢形山城・杉山城は土の城の傑作らしいが、前回の太田金山城行きと同じ方角なので避けたい。

滝山城も行ったことない。東京都ナンバー1の城に押す人もいるし、距離的にもちょうどいいのだけど、いかんせん、都内に住んでる人間の夏休みの旅行先が都内ってどうよ?となってしまうので、それは避けたかった。

かつて、小金井や小平に住んでいたので途中にある史跡や寺社・古民家を、けっこう見てしまっているのも問題だった。

南は、これもかつてママチャリ旅行をした方角だし、あまり良い城が残ってないのでパス。

西と南は全滅なら、北か東だろう。東京湾があるのでまっすぐ向かえない南総は、やはり無駄が多いように思える。

こっち方向で評価の高い城と言えば、なんといっても佐倉城だろうし、成田山新勝寺も一度くらい見たいものだ。

だが、駅から近すぎて、ママチャリで行く意義がなさすぎるようにも思う。あと、すこし地味。

残るは北か北東か。地図を見る。柏。我孫子。取手。牛久。……牛久。

牛久大仏。

あんなの、ただでかいだけじゃないか。お金をかけたらもっとでかいのだってできらあっ!五百年、千年の時を経てきた古寺名刹とくらべたら……という気持ちはあるのだけど、やはり、派手さでは必要十分だ。

ぐるぐる回してみた by 桝田道也 – ニコニコ動画という雑ハイパーラプス動画を作っており、いつかは牛久大仏もと思っていた。調べたら、牛久大仏は駅からやや遠いらしい。

決めた。牛久大仏を見に行こう。そして、それだとちょっと距離的に物足りないから、土浦まで行って霞ヶ浦を見よう。それなら旅も派手になる。大丈夫、それでも太田金山城まで行ったときより距離は短い。

というわけで目的地が決まったので、サブ目的地の小さな城址や史跡や文化財や、ネカフェや温泉や銭湯をブックマークして、二泊三日のママチャリ旅行の準備を整えた。

そしたら、かつてないコースで日本に上陸する、2016年台風10号(ライオンロック)がやってきたのだった。

一日目

天気が悪けりゃ、即。中止できた専業自営業のころとちがって、今は半分、勤め人であるため、予定の変更は難しい。

いちおう、ヘトヘトで帰ってくることを見越して休養日を多めに組み込んで夏休みをとったので、一日ずらすことも考えたけど、やはり休養日は休養にあてたい。

幸い、午前9時には東京は雨があがったので、それから出発した。希望は夜明けとともに出発だったのだが、まあ、いいだろう。

さあ、ここから写真のターン!

台風で増水した川に近づくなとさかんに報道されてるのに近づく奴(さすがに河原には下りない)。新荒川大橋より。
新荒川大橋より

なにか手作りの遊具的なものが。川口市。
手作り遊具 川口市

あ、ネコだ。
猫

台風一過のすばらしい青空が!(このあとすぐに曇ったし、午後には雨に降られた)。
ガス管橋 荒川

葛飾区。大場川。このへんは初めて来た。23区内に、こんな風情のある船着場が!という驚き。
大場川(葛飾区)

この近くに都内唯一の水郷と葛飾区が言い張る水元公園があり、関門橋があった。まったく知らずに来た史跡だったが、そういう予定外の史跡に寄り道するのも、チャリ旅行を選んだ理由のひとつだ。水元公園は広すぎたのでパスして、関門橋を堪能した。

  >閘門橋(東京都葛飾区)と二郷半領猿又逃樋(埼玉県三郷市)- 単独記事を立てるまでもない史跡の訪問ログ | 桝席ブログ
  http://www.masuseki.com/wp/?p=28#koumonbashi

では、なぜこのあたりに来たかというと、最初の目的地があったからだ。それは、上記の二郷半領猿又逃樋のある一帯だ。正確な住所はよく知らずに行った。いま、このエントリのために、その場所の住所が三郷市戸ヶ崎だと把握したけど、それまではオンライン地図上に見えたラベルから「寄巻」と思い込んでいた。


大きな地図を表示

↑ここだ。地図で見たら、川と川に囲まれていた。事実上の「島」である。中州である。

なぜかはわからないが、最近、そういう場所に無性に惹かれる自分に気がついたので、気づいたからには積極的にそういう場所に行くことにしてるのだ。

史跡でもなんでもない。なにかあるというわけでもない。むしろ、なにもないだろう。だが、そのなにもなさっぷりにぐっとくるんだから、しかたがない。しかも、なにかあったらあったで、うれしさ百倍なのだ。ノーリスクハイリターン。

そして、今回は二郷半領猿又逃樋があった。うれしさ百倍。

実を言えば、川のあるところに、なにもないということはない。川がある。

当たり前のことを言っているので、むかついてたりしますか>読んでる方。

しかし、都市に川があれば、まず橋がある。そこが中州で人が住んでいたら、確実に、橋がある。それでもう、そこそこ楽しいのに、水辺の近くには何らかの雑草なりなんなりが生い茂り、生き物が見られる可能性が高いのだ。個人的には、橋のかかってる中州で期待を裏切られたことは少ない。

事実、二郷半領猿又逃樋がなかったとしても、期待通りの楽しさがあった。
戸ヶ崎 三郷市

細い水路に小さなボート。いいじゃありませんか。
戸ヶ崎 三郷市

中州の東端。戸ヶ崎なかす公園。安心・充実の何もなさっぷり。
戸ヶ崎なかす公園 三郷市

うむ!納得。だからなんだと思わないでもないが、それでも、うむ!
戸ヶ崎なかす公園 三郷市

この、
「行った先になにもないのを味わいたい欲求」
は、説明してもわからない人にはわからないと思う(わかってくれる人がすこしはいることを望む)。 同系統のエントリを挙げておくので、もしよかったらご一読いただきたい。

  >ママチャリで荒川を海まで走ったら首都高の下がすごかった | 桝席ブログ
  http://www.masuseki.com/wp/?p=153

ちなみに、ネットの地図で「三郷市寄巻」を表示させてみると、飛び地がたくさん入り込んだ、ヘタクソが積んだテトリスみたいな複雑な境界線をしていた。水害で流路が変わるたびに村境も変わった結果だろう。

あ、(暗渠の先に)猫だ。
暗渠の先の猫 三郷市

カッパやタヌキならエロ表現が許されるという、日本の謎ローカルルール。
エロカッパ

ちゃう。豚や。
林や

たくさんある水路のうち、一本を選んで北上。
三郷放水路につながる用水路 三郷市

このままたどるか、ひたすら北へ進めば、次の目的地である、三郷放水路に着くはずだ。気楽なもんだ。

三九村の身代わり地蔵。
身代わり地蔵 三郷市

なにがどう、身代わりなのか。現地説明板にあった、ことのあらましをかいつまんで説明すると、こうだ。

江戸時代。三九村の大銀杏に毎夜、棺桶がぶら下げられるという事件が起こった。

そこで村では夜番をはじめた。しばらくして(つまり、夜番してると事件は起きなかったのだろう)村長は、
「犯人は村内にいる!」
と考え始めた。

犯人ではないかと噂される村人はいたが、もちろん、誰も自首したりはしなかった。

そこで村長は
「犯人は、大銀杏のたもとにいた、この地蔵様である!」
と言って、地蔵様を村中引き回しの刑に処するよう村人に命じた。

ところがである。引き回されていた地蔵は、犯人と噂されていた男の家の前に来ると、急に重くなって、動かなくなってしまった。

困った村人が村長に相談すると、村長は不思議なことに、重くて動かないはずの地蔵を軽々と持ち上げ、そのまま村中引き回しの刑を続行し、地蔵様を元の大銀杏のたもとに安置した。そして、一件落着とし、この件は解決したものとして不問とするよう、皆に申し付けたという。

めでたし、めでたし(?)

なんだこれは。地蔵が重くて動かなくなった場所に住んでいた村人がどうなったか、言及なしかい。

陰湿な嫌がらせをしてるらしい村人に対し、茶番劇で陰湿な村八分をした、田舎らしい後味が悪いだけの話じゃないか。しれっと村長がマッチョぶりをアピールして凄みをきかせているのが本当、怖い。

こういう実話が残って伝わってるのは、すばらしいな。 創作にはなかなか出せない、意味不明な味わいがある。

あ、猫だ。
猫

そんなこんなで、二番目の目的地である三郷放水路に到着した。

  >三郷放水路(埼玉県三郷市) – 単独記事を立てるまでもない土木の訪問ログ | 桝席ブログ
  http://www.masuseki.com/wp/?p=7882#misatohousuiro

 

三郷放水路を楽しんだあとは、江戸川の土手を北上。
江戸川堤

珍来も、この旅行中に一度は行きたいサブ目的物件ではあったのだが。
珍来

  >伝説の中華『珍来』、特大ギョウザと焼きそばを巡る! – デイリーポータルZ:@nifty
  http://portal.nifty.com/kiji/130819161464_1.htm

すでに昼食をとったあとだったし、観光として行くなら茨城の「黄色い珍来」にしたかった。このタイプの珍来なら、東京にもあるし。

三郷駅の近く。方角的に、筑波山だと思うことにする。
たぶん筑波山

流山橋取付道路。歩行者/自転車専用橋。よいですわ~。
流山橋取付道路

松戸市大谷口。坂川と流鉄流山線を越える橋の上から。
松戸市大谷口 坂川の上

流鉄流山線小金城趾駅の近く。駅名に残るくらい大きな城だった小金城は、しかし、本丸周辺は壊滅的に遺構がない。

  >本丸の遺構はなし。 小金城(千葉県松戸市) – 単独記事を立てるまでも無い城址 | 桝席ブログ
   http://www.masuseki.com/wp/?p=7757#kogane_castle

予定では、このあと根木内城(千葉県松戸市) | 攻城団を見て、時間に余裕があれば松戸城(千葉県松戸市) | 攻城団二十世紀梨誕生の地を見るつもりだった。が、残念ながら、雨が降ってきた。台風は去ったが、まだその余波が残っていた。

雨具を着るために、マンションの駐輪場の屋根の下を一時的に借りるのこと。
雨が降ってきった in 松戸市大金平

夏だったので、完全な防水雨具ではなく、撥水ヤッケ。おまけに靴は普通の靴で、レインガードもなかった。
ヤッケを着た 松戸市大金平

撥水ヤッケで防げる 20 ~ 30 分のあいだに、コンビニまでたどりつき、トイレを借り食料を調達し、しばらく雨宿りをしていた。

が、雨がやむ気配がないので、あきらめて、濡れる覚悟で出発した。

雨の中、ろくな写真もとれないのに観光してもしょうがないので、ひたすら北上して、旅行の主目的地である牛久にできるだけ近づくことに予定変更。

南柏あたり。案の定、このころにはヤッケはただのビニールと化し、パンツの中までびっちょびちょ。
南柏あたりだろうか

はじめて来た柏市。脳内BGMは爆風スランプの『KASHIWA マイ・ラブ』
柏市

レンズが濡れてたからだろうが、時のオカリナのナビィさんみたいな写真になった。
ナビィ?

爆風スランプの名曲『楽』に、「駿台、通ってみても」という歌詞がある。それが、どこの駿台予備校かなんて気にしたこともなかったし、特定されていない以上、もちろん駿河台の駿台予備校のつもりで聴いていたのであるが。

駿台予備校 柏校。
駿台予備校 柏校

サンプラザ中野くん氏とパッパラー河合氏が出会ったのは、千葉県柏の高校だということだから、当然に、あの歌詞の駿台も、この柏の駿台予備校なのだろうな……と思った。図らずも聖地巡礼。聖地と呼ぶ資格があるほど、コアな爆スラのファンじゃないけど。

さて、なかなか雨がやまないので、自転車をこぐのもいやンなってきた。

たしか、事前に調べた情報では柏に銭湯があったはずなので、ゆっくり風呂につかって体を癒し、ついでに雨がやむのを待つのがよかろうと思った。

当たり前だが、体力を消耗する、数日にわたる長距離のチャリ旅行では、いかに体力を温存し、回復させるかが重要だ。そんなあたりまえのことに気づくのに、前2回の経験が必要だった。

ちゃんと風呂に入るべきなのだ。汗臭くて困るのは自分ではなく他人だからいいとしても(←おいおい)、風呂に入って空調の行き届いた所で眠らないと、翌日にチャリを漕ぐのが地獄になる。

だから!ひとっ風呂あびるぜ!温泉じゃないけど!柏市の!旭湯ってところで!

…が、廃業済みッ…………
旭湯跡(柏市)

しかたなく、スマホで他に風呂に入れるところはないか検索し、がんばって取手市の『湯楽の里』に向かうことにした(↓下の写真は本文に関係ない)。
柏市

柏市には『極楽湯』があって、そっちの方が近かったのだけど、なぜ『極楽湯』にしなかったのかというと、
「チェーンのスーパー銭湯はな~」
という気持ちがあったからだ。そう、そのときはまだ、『湯楽の里』も『極楽湯』とどっこいどっこいのチェーンのスーパー銭湯だと知らなかったのだ。

日没。雨に濡れた路上配電送電設備の上に Optio W90 を置き、セルフタイマー+夜景モードで撮ったら、なんだか未来感のある写真になった。
車道の夜景

大利根橋を渡り、何の感慨もなく茨城県入り。
大利根橋

ようやく雨が止み、服も乾きはじめていたが、もはや風呂に入りたい一心しかなかった。

『湯楽の里』取手店。
湯楽の里 取手店

全国、どこに行っても個性のないスーパー銭湯だったかー、と少しだけがっかり。でも贅沢は言えない。やたら大きな荷物に従業員も引いていたのではないか。

ともあれ、風呂でつかれを癒し、湿った下着をビニール袋につっこんで、あたらしいパンツを履き、靴はまだ濡れていたのでここでは靴下を履かず、牛久へ向けて再出発。

藤代橋から見た牛久市方向。夜景モードで撮ると、まるでメガシティのよう。
藤代橋(取手市)から見た牛久市方向

牛久市突入。左手が牛久沼。
牛久市境

牛久沼と牛久城址も、できれば行きたいサブ目的地であったが、この旅では行きも帰りも日没後に通ることになり、牛久城はおろか牛久沼さえ、暗い夜の闇を通してしか見られなかった。残念。

さて、このあとはコインランドリーでヤッケや濡れた下着や靴下を乾かし、それはそれとして新しい靴下を履き、ネットカフェで一泊した。

一日目が終わった。当初の予定では、柏あたりで一泊するつもりだったが、いきなり主目的地である牛久まで到着できてしまった。 つまり、夜明けとともに出発し、寄り道をしなかったら、ゆっくり漕いでも土浦までママチャリで一日もあれば十分だとわかった。 いやまあ、東京から土浦まで約 80km なのだから、そうじゃなきゃおかしいのではあるが。


ここはシェアと拡散の店だ。どんな用だい?

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